僕はコーヒーが大好きなのだがどうも飲んでいるだけで、そもそもコーヒーのルーツや習慣と言うのが今一わからない。昔、コーヒーにまつわる本を何冊か読んだことがあるのだがどれも今一面白くなかった。と言うか実感がなかっただけかもしれないが、ここ最近センセーショナルな出来事と言えば、去年12月に初めてスペイン(そもそもヨーロッパが初めて)を訪れた時のバールだ。夜遅くまで営業していて、おじいちゃん、ばあちゃんもなんか楽しげにおしゃべりを楽しんでいる。その傍ら、若いカップルもいたり、学生がいたり、本当に不思議な場所だと思った。極めつけが、お酒もあれば、おつまみ(うまいピクルスやハム)もあればケーキもあれ、コーヒーがある。友達に案内されてどうやら町中にはバールがいくつかある模様。
そんな、衝撃な印象から半年以上がすぎて運良くこの本に出会えた。場所はイタリアを舞台に話しているがこのバールと言う仕組みと魅力が僕の中でさらに増した。地域密着、オリジナルへのこだわり、アドリブがきくお酒やコーヒーの注文、産地のうまいもの。楽しく、愉快に読める一冊である。
日本にもバール的な店があるかどうか、探してみるがどうもない。あるのはスタバやドトール、コンビニ、いわゆる大型のチェーン店だ。僕はイタリアにいったことがないから分からないがどうやらイタリアにはスタバがないらしい。あったとしても1、2店舗ぐらいなのでしょう。たしかスペインに行った時もあったのはマドリッドとバルセロナの海沿い、サグラダ・ファミリアの近くぐらいしかなかったような気がする。そもそもスタバは値段が高いし、地元の人は手軽でいつもの味のバールに行くのだろう。どっちかと言えばスタバは観光客向けなのかもしれない。後、バールの主人はその地域のことを良く知っていると言うのも魅力的である。地元の人とのコミュニケーション、誰がこの町に住んでいるのかが大抵把握しているとのこと。なので何か事件事が起きると警察はその地域のバールマンに聞く事もあるのだとか。
コーヒーの名前も色々あって面白い。お酒みたいな感じだなと思った。
スペインの時も友達から少し教えてもらったがコーヒーのことをカッフェと言う。そしてミルク入り(温めたミルク、温めないミルク)やエスプレッソと共にお湯を用意する注文の仕方やホイップを入れた名前やらリキュールを入れたもの。リストレット、カフェ・マッキアート、カフェ・コン・パンナ、カフェドッピオ、カフェ・シェケラート、カフェ・コレット、と愉快だ。
僕にとっておとぎ話のような事がたくさん書いてあって実に面白く読めた。